消化器内科概要
消化器内科概要
消化器内科では、肝臓の病気を除く、消化器の内科領域の診断と治療を行っています。
消化器内科で取り扱っている病気は、食道、胃、小腸、大腸の消化管と、胆のう、胆管、膵臓などの病気です。
当科を受診される患者さんは、腹痛、下痢、便秘、嘔吐、下血などのいわゆる消化器症状のある患者さん、健診や人間ドックで精密検査を勧められた患者さん、他の医療機関から、専門的な精密検査や治療を行うため紹介された患者さんなどです。
最近では、鹿児島大学病院から炎症性腸疾患、腫瘍内科、胆・膵疾患の専門医師が常勤として勤務し、大学病院との連携を通じ専門性の高い診療を提供しています。
また、肝臓内科とで設置している肝胆膵疾患・消化管疾患ホットラインを通じて、地域の医療機関から直接救急要請が増え、内視鏡処置を中心とした診療を行っております。
主な疾患・治療法
主な疾患・治療法
消化管では、胃、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、感染性腸炎、消化管出血、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)などと、消化管のポリープやがんなどの病気です。
胆・膵疾患では、胆石症、膵炎、胆道や膵臓の腫瘍やがんなどの病気があります。
消化管内視鏡検査・治療
当院の消化管内視鏡検査は、主に内視鏡センターで行われます。
検査件数は、上部消化管約5000件、下部消化管約2000件、超音波内視鏡約250件、胆膵内視鏡約300件などです。
その他、消化管出血に対する止血術、消化管狭窄の拡張術やステント術、胃瘻造設などの治療も行なっております。
早期の消化管癌に対して、内視鏡下でメスを用い切除する手術(ESD)が専門施設で行われるようになりました。
当科では、2002年より食道、胃、大腸がんに対してESDを導入し、現在までに1000例を越える病変に治療を行なってきました。
そのほか、最近ではハイビジョン画像、拡大観察画像、NBI、BLI、LCIといった特殊光観察、さらに経鼻内視鏡、小腸を検査治療するためのバルーン内視鏡やカプセル内視鏡など、常に最新の内視鏡機器、医療機器を導入し、高い医療水準の維持に努めております。
なお当院は平成18年から日本消化器内視鏡学会の指導施設に認定されています。
胆・膵疾患
胆のう、胆管や膵臓の病気については、腹部超音波検査、CT、MRIなどの画像検査と、内視鏡を用いた超音波内視鏡検査や、内視鏡的膵胆管造影検査(ERCP)などの検査があり これに組織検査を組み合わせて診断を行います。
近年、健診や人間ドックで異常を指摘される例が増え、超音波内視鏡による精密検査も、次第に日常業務のひとつとなってきました。
また、胆石や腫瘍により胆管がつまって黄疸や腹痛、発熱などの症状がみられる場合には、内視鏡または局所麻酔によるドレナージ術(溜まった胆汁を流す治療)を行ないます。 胆・膵疾患の分野でも、医療技術の進歩はめざましいものがあり、当院でも積極的に導入しています。
最近では、超音波内視鏡下の針生検、ステント留置術、バルーン内視鏡による減黄術など、高度な技術を要する検査、処置についても早期に導入致しました。
また近年の膵・胆管がんに対する抗がん剤治療は、新たな薬剤の登場により、少しずつ、治療成績の改善がみられています。
当院では大学病院からの腫瘍内科専門医と連携し、それぞれの患者さんに対して適切な治療を実施しております。
炎症性腸疾患
炎症性腸疾患とは、潰瘍性大腸炎やクローン病などの難病に指定されている病気が含まれます。最近患者さんの数が増加し続け、次第に一般的な病気となってきました。
診断は小腸や大腸の内視鏡検査、レントゲン検査などを用いて行います。
治療法は5-ASA製剤、ステロイド、生物学的製剤、免疫調製剤などの炎症をおさえる薬剤のほか、栄養療法、白血球除去療法などがあります。
次々と新しい薬剤、治療法が登場し、治療の選択の幅が広がった一方で、依然として完治が困難です。
生活の質(QOL)が低下することのないよう配慮しながら、病気の程度や環境、状況にあわせて治療を行なう必要があります。
当院では大学病院からの炎症性腸疾患専門医と連携し、治療方針の選択などを検討しております。
医師、看護師、臨床工学士、ソーシャルワーカーと協力し患者さんのご意見を伺いながら、適切な診療を目指しております。
検査・治療実績(2020年度)
上部消化管内視鏡 | 3,696件 |
下部消化管内視鏡 | 1,678件 |
ERCP | 222件 |
超音波内視鏡(食道・胃・大腸・胆膵) | 231件 |
小腸カプセル内視鏡 | 7件 |
食道ESD | 20件 |
胃ESD | 58件 |
大腸ESD | 42件 |
消化管出血止血術 | 136件 |
大腸EMR | 563件 |
内視鏡的排石術 | 91件 |
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について
消化器がん、特に消化管と呼ばれる食道、胃、大腸は検査法の進歩により早期で見つかるケースが増えてきました。
内視鏡検査、超音波や拡大観察機能をもつ特殊内視鏡検査、エックス線検査によりがんの場所、広さ、深さを調べ、超音波検査、CT検査などでリンパ節などに転移(飛び火)があるかどうかを診断し進み具合(病期、ステージ)を決めます。
進み具合の程度で治療法は内視鏡的切除術、腹腔鏡下手術、開腹手術、抗がん剤治療、放射線治療等決定されます。
超音波検査やCT検査でリンパ節に転移がないと判断された早期がんは、おなかを切らずに内視鏡でがんを含む粘膜だけを切り取る内視鏡的治療が用いられます。
内視鏡による消化器がんの治療は、開腹手術に比べおなかに傷がつかず、臓器を残すことができる、入院期間が短くてすむなど患者さんにとって体にやさしく経済的にも負担が軽い治療法です。
この治療法は,すでに20年以上前から行われており、従来からスネアと呼ばれる金属の輪を使って切り取る方法(内視鏡的粘膜切除術:EMR)が行われていました。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
この方法は、大腸のポリープを取るときなどによく用いられており、1cm程度までの小さい腫瘍に対しては有効ですが、一度に取れる大きさが限られており、大きな腫瘍に対してはいくつかに分けて切除するしかなく、腫瘍を確実に取れたのか顕微鏡で検査するときに判断できないという欠点がありました。
現在では、専用の処置具が開発され、より大きな腫瘍も切り取ることができるようになりました。内視鏡の先端に電気メスを出して切り取っていく方法で、内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)と呼ばれています。
腫瘍をひとつの塊で取ることができ、完全に切除できたかを正確に診断することができます。
内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術(ESD)
当院では2002年から導入し、当初胃の腫瘍に対してのみ行っていましたが、その後EMRで取りきれない大きさの食道、大腸の腫瘍に対しても導入しています。
それまでは外科的手術でしか取ることのできなかった腫瘍を、おなかを開けずに治療することができるようになりつつあります。
内視鏡で治療できるがんは、リンパ節などに転移する可能性のないものが原則となります。胃においては、がんが一括で取れるものと日本胃がん学会で決められています。
具体的には
1.がんの深達度(深さ)が粘膜層と呼ばれる一番浅い層にとどまっているもの
2. 2cm以下の大きさで分化型がんと呼ばれる、がんの細胞の形や並び方が胃の構造を残したがんで潰瘍を合併しないものが対象となっています。
現在ではESDの進歩により病変の大きさや潰瘍の有無に関係なく適応が広げられつつあり
1.2cm以上の大きさであっても潰瘍がなく表層(粘膜層)にとどまっているもの
2.潰瘍があっても3cm以下の大きさで表層(粘膜層)にとどまっているもの
3.3cm以下の大きさで粘膜層の下にある粘膜下層にわずかにひろがっているもの などにも適応が拡がってきています。
ESDは手術室で全身麻酔をして行うのではなく、内視鏡室で鎮静剤や鎮痛剤を使用し、完全に眠っていただいた状態で治療を行います。所要時間は1時間程度ですが、大きな腫瘍の場合は数時間かかることもあります。
粘膜の下には血管が多数あり、出血は避けられませんが、しっかり止血しながら治療を進めます。胃の壁の厚さは5から7ミリ前後であり約5%の確率で穴があくことがあります。その場合は内視鏡で穴をふさぐ処置を行いますが、稀に外科的手術が必要になる可能性もあります。
治療後は経過が順調であれば2日目より食事開始となり1週間ほどで退院となります。
ただし、病理組織検査の結果で予想よりがんが深くもぐっていた場合には、後日外科的手術が必要になってきます。
早期に見つかれば怖くない消化器がんですが、やはり定期的に検査を受けていただくことが望まれます。
医師紹介
医師紹介
院長
德重 浩一
( とくしげ こういち )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本消化器内視鏡学会、日本消化管学会、 日本胆道学会 |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会認定内科医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医 日本消化管学会胃腸科専門医 |
評議員 その他 | 日本医師会認定産業医 インフェクションコントロールドクター 鹿児島大学臨床教授 |
消化器内科部長
福田 芳生
( ふくだ よしお )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会 日本消化器内視鏡学会、日本消化器学会 |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会認定内科医・指導医 総合内科専門医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医 日本消化管学会胃腸科専門医 |
消化器内科部長
柊元 洋紀
( くきもと ひろき )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本消化器内視鏡学会、日本化学療法学会、 日本癌治療学会、日本消化管学会 |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会認定内科医 日本消化器病学会専門医 日本化学療法学会認定医 日本消化器内視鏡学会専門医 |
消化器内科部医長
鮫島 洋一
( さめしま よういち )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本消化器内視鏡学会、日本炎症性腸疾患学会、 日本大腸肛門病学会、日本消化器内視鏡学会 |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会認定医 日本消化器病学会専門医 日本消化器内視鏡学会専門医・指導医 |
消化器内科部医長
山下 芳恵
( やました よしえ )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本消化器内視鏡学会、日本外科学会 日本プライマリ・ケア連合学会 |
認定医・専門医・指導医 | 日本消化器病学会 専門医 日本消化器内視鏡学会 専門医 日本甲状腺学会 専門医 日本外科学会 専門医 産業医 |
常勤医師
川平 真知子
( かわひら まちこ )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本癌治療学会、日本がん治療認定医機構、 日本消化器内視鏡学会、日本臨床腫瘍学会 |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会 専門医 日本消化器病学会 専門医 日本がん治療認定医機構 認定医 |
常勤医師
藤野 悠介
( ふじの ゆうすけ )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本消化器内視鏡学会 |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会 認定医・専門医・指導医 日本消化器病学会 専門医 日本消化器内視鏡学会 専門医 |
常勤医師
寺田 芳寛
( てらだ よしひろ )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本消化器内視鏡学会 |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会 専門医 |
常勤医師
宮之前 優香
( みやのまえ ゆうか )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本肝臓学会、日本消化器内視鏡学会 |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会 専門医 |
常勤医師
岩田 大輝
( いわた ひろき )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本消化器内視鏡学会 |
認定医・専門医・指導医 | 日本内科学会 専門医 |
常勤医師
秋元 遥
( あきもと はるか )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本消化器内視鏡学会、日本炎症性腸疾患学会 |
常勤医師
灰床 裕介
( はいとこ ゆうすけ )
専門分野 | 消化器 |
所属学会 | 日本内科学会、日本消化器病学会、 日本消化器内視鏡学会 |
- 非常勤医師 大石 一郎(おおいし いちろう)
- 非常勤医師 堀之内 博人(ほりのうち ひろと)
- 非常勤医師 児島 豊史(こじま とよふみ)
- 非常勤医師 橋元 慎一(はしもと しんいち)
- 非常勤医師 中村 勇一(なかむら ゆういち)
- 非常勤医師 田中 啓仁(たなか あきひと)
- 非常勤医師 上村 修司(かんむら しゅうじ)